当院の補聴器外来について
当院では、毎週金曜日に予約制で補聴器外来を行っております。
聞き返しが多い、音は聞こえるが言葉が聞き取りにくい、テレビの音量が大きくなってきた等、ご不自由を感じるようなことがありましたら、一度補聴器外来をご受診ください。
耳垢塞栓、鼓膜穿孔などの有無を確認し、聴力検査の結果をふまえて補聴器が必要か否かを判断した上で補聴器外来にかかっていただきます。
院内での試聴だけではなく、装用効果を確認するためには実際の生活環境の中で補聴器を付けていただくことが大変重要でありますので、1ヶ月を目安に補聴器をお貸し出しいたします。
補聴器は日常生活で必要な時に短時間使用すればよいというものではなく、長時間装用して訓練を行っていく必要があります。
最初から一番いい状態に調整できるわけではなく(いきなり大きい音を入れると疲れてしまいます)、少しずつ音量を上げながら調整を繰り返してベストな状態にもっていきます。
いくら高価な補聴器を使用していたとしても、調整がうまくいっていなければ補聴器の効果を十分に活かすことはできません。
現在ご使用されている補聴器が合わないなどお困りの場合でも、お気軽にご相談ください。
補聴器外来の流れ
1. 診断
一般外来を受診していただき、治療が必要な病気がないか診察します。
まずは音がどの程度聞こえているのか(標準純音)聴力検査を行い、補聴器適応の有無を判断します。
補聴器を合わせていく上で、言葉の聞き分けがどれくらいできるかという検査も必要になってきます(語音聴力検査)。
基本的に、語音聴力検査は(標準純音)聴力検査を施行後、予約制で後日施行しております。時間帯が合いましたら、同日に補聴器のフィッティング(ご自身の聞こえに合わせた調整)も行えます。
▼
2. 補聴器相談
認定補聴器技能者が使用目的や使用環境などを詳しく伺った上で器種を選択し、フィッティングを行います。ご希望により補聴器の貸し出しを行います。
▼
3. 点検・調整
日常生活の中で補聴器をなるべく長時間装用するようにしていただき、1~2週間後に再度補聴器外で使用状況などデータを確認し、ご使用された感想を伺いながら調整を加えていきます。場合によっては貸出器種の変更を行うこともあります。
▼
4. 補聴器の注文
補聴器の効果が十分に感じることができましたら補聴器を決定します(あまり効果が実感できない場合は補聴器を返却していただくことになりますが、お試し期間中に貸出補聴器の金額が発生することはありません)。
ご希望の種類(耳掛け式、耳穴式など)、価格を考慮し、ご本人に合ったものを選びます。
納品には1~2週間程度かかります。
▼
5. アフターケア
日常生活で使用しながら、その状況に合わせて微調整を繰り返し行っていきます。
定期的に補聴器の点検やクリーニングを行います。
※購入後の点検・クリーニングにも予約が必要になります。
補聴器購入や耳型採取の前に確認するべき8項目「禁忌8項目」
- 耳の手術をうけたことがある。
- 最近3ヶ月以内に耳漏があった。
- 最近2ヶ月以内に聴力が低下した。
- 最近1ヶ月以内に急に耳鳴りが大きくなった。
- 外耳道に痛みまたはかゆみがある。
- 耳あかが多くたまっている。
- 聴力判定の結果、平均聴力の左右差が25dB以上ある。
- 聴力測定の結果、500、1000、2000Hzの聴力に20dB以上の気骨導差がある。
上記8項目のうちどれかに該当する場合は、早期治療が必要、あるいは耳型採型が危険、という可能性が高く、耳鼻咽喉科医師の事前診察が必要である具体的な事項をまとめたものです。
(「一般社団法人 日本補聴器販売店協会制定の「禁忌8項目」」より)
医療費控除について
2018年5月以降、必要な手順を踏んだ上で補聴器を購入する場合、医療費控除を受けることができるようになりました。補聴器購入者が医療費控除を受けるために(すでに補聴器を購入している方は対象になりません。また、さかのぼって発行することもできません。)難聴の患者さまがまず補聴器相談医を受診し、必要な問診・検査を受けるという手順を踏む必要があります。
当院ではご希望の方に「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を作成しております。
認知症と難聴の関係
認知症の予防や治療などに関する、最近の知見をまとめた世界的に有名なLancetという論文の中で、「難聴」が認知症の最も高いリスクとして報告されました。
人間の「生活の質(QOL)」における難聴の重要性が注目されており、WHOも難聴予防キャンペーンを実施しております。
「聞こえのしくみ」「難聴とは?」「難聴の影響」「加齢と難聴」「加齢性難聴の機序」「難聴の予防」など、イラストを用いて分かりやすく説明されています。
難聴の改善により認知症予防をはじめとして生活の質が改善できることが分かるようになっています。難聴に対処することで認知症が積極的に予防できることについても触れられています。
「補聴器とは、いつまでも若々しく健康的でいるための、いわばアンチエイジングツールといえます。」