オマリズマブ(ゾレア🄬)は血清中の遊離 IgE に結合し、IgE 受容体と IgE との結合を阻害することにより、アレルギー反応を抑制するお薬です。2020年より重症・最重症のスギ花粉症に対して、2月~5月にゾレア🄬を皮下注射する治療が保険適応となりました。スギ花粉症による、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が内服薬、点鼻薬などを使用しても改善しない重症以上のスギ花粉症の方(12歳以上で、スギ特異的IgE抗体がクラス3以上)にとって、より高い効果が期待できる治療です。その反面、新しい治療のため医療費が高額であり、さらに患者さまごとの体重と血液中の総IgE値によって投与量や注射回数が変動します。
治療費は薬剤費のみで1ヶ月あたり、3割負担の方で約4,500円~70,000円 かかります(投与量・回数によって金額が変わります)。その他に、受診、検査にかかる費用、同時に服用し続ける必要のある抗ヒスタミン薬の処方料がかかります。
※薬剤費の詳細はノバルティスのゾレア®のホームページからメニューの「医療費について」をご参照ください。
http://www.xolair.jp/
対象となる方
下記の項目を満たしていることが条件になります。
- 12歳以上
- 体重が20~150㎏
- スギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上
- 血清中総IgE濃度が30〜1,500IU/mL
- 例年、季節性アレルギー性鼻炎の症状が重症・最重症の状態である
<重症以上の季節性アレルギー性鼻炎の状態とは>
くしゃみ、鼻汁、鼻づまりの症状が全てあり、いずれか一つ以上に該当する
- くしゃみの回数:1日あたり11回以上
- 鼻水(鼻かみ)の回数:1日あたり11回以上
- 鼻づまりの状態:鼻づまりがひどく、かなりの時間が口呼吸
ゾレア®治療の流れ
初診から初回投与まで最短3-4回のご受診が必要となります
- 2月以降、スギ花粉飛散時期にご受診いただき、まずは抗ヒスタミン薬、鼻噴霧用ステロイド薬などの標準的な治療を1週間以上行います。
- 1週間以上経過したのちに、治療効果を確認します。効果が不十分であれば血液検査を行い、総IgE、RASTを調べます(初診時に血液検査を行う場合もあります)。
- 血液検査結果を確認して(検査結果がでるまで約1週間かかります)、投与可能かどうか、投与量と投与間隔が決まります。適応のある方は、価格と投与間隔(2週間毎または4週間毎)をお伝えします。予定通りゾレア治療をご希望される場合は、次回来院日を調整し、その日に合わせて薬剤を準備いたします。
- 予約日に受診していただき、ゾレア治療の最終確認とゾレアの投与を行います。
副作用について
ゾレア治療においては、注射部位の腫れや痛み、めまい、疲労感などの副作用が報告されています。稀ではありますが、アナフィラキシーという重篤なアレルギー反応が引き起こす可能性があります。国内臨床試験においてアナフィラキシーは報告されていませんが、気管支喘息患者を対象とした海外臨床試験において、発現頻度は成人で0.1%、小児で0.2%と報告されています(ノバルティス社ホームページより)。そのような症状があらわれた場合は速やかにご連絡ください。
投与数日後~2週間後に効果が出始め、効果の持続期間は1ヶ月と言われています。